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#15 NFTアーティストとしての活動と今後のクリプト産業の未来について- コインチェック 大塚雄介氏

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「スタートアップ オフレコ対談」は、XTech Venturesの代表手嶋とゲストの方をお呼びして対談する番組です。今回はSTORYS.JPというユーザー投稿型のメディアから大ピボット、そしてマネックスグループへの参画を通じて、現在国内の主要な仮想通貨取引所となっているコインチェックの大塚雄介さんをゲストにお迎えします。

後編では、大塚さん個人のNFTアーティストとしての活動や自分に合ったコミュニティの見つけ方、クリプト産業の未来、そして事業領域拡大の際のポイントや一見異質に見えるSharelyにコインチェック社として取り組む意義について聞きました。

スピーカー

・大塚 雄介氏(@yusuke_56
コインチェック共同創業者、専門役員

・手嶋 浩己(@tessy11
XTech Ventures代表パートナー

目次

# NFTへの理解を深めるための実践的アプローチ
# NFTは「コミュニティ参加のためのチケット」
# 本業とクリエイター活動の融合
# 日本のクリプト産業の今後の展望
# GameFiの可能性と規制
# グローバルで注目している取り組みやプロジェクト
# 株主総会のDXサービスを手がける狙い
# 経験よりもカルチャーフィットを重視する採用戦略

※音声収録日:2022年1月収録
※スピーカーの所属および役職ならびに記事中の発言内容は収録日時点のものです。

NFTへの理解を深めるための実践的アプローチ

手嶋:では後半戦をスタートさせていただきたいと思います。後半戦は、今後のコインチェックの展望や、日本および世界のクリプト産業についてお話を伺っていきます。

おそらく、コインチェックが実現したい世界が、少しずつ近づいてきている状況かと思いますので、さまざまな事業機会を捉えられているのではないでしょうか。そういった、少し抽象度の高い話を聞いていきたいと思っています。

その前にまず、大塚さんご自身についてお伺いします。年末ぐらいから、ご自身がNFTアーティストとして活動を始められ、Twitterに別のアカウントまで作られていますよね。私も昨日フォローさせていただきました。会社としてはNFTのマーケットプレイスを運営されていますが、ご自身でもアートを作ったり、色々なNFTを購入してDiscordのコミュニティに参加されたりしているのでしょうか?

プライベートな活動としてやられているのだと思いますが、現在どのような活動をされていて、その目的や、そこから得られた発見などがあれば教えていただけますか?

大塚:そうですね。経緯としては、コインチェックはNFTのマーケットプレイスを運営しているものの、私自身はこれまであまりNFTに触れてきませんでした。

NFTマーケットプレイスの運営は社内の他のメンバーが担当していて、私自身は「可能性はあるな」と思いつつも、Sharely(シェアリー)という別の事業を立ち上げていたため、時間的な余裕がなかったのです。自分自身のNFTに対する解像度が低いなという課題を感じていて、年末に少し時間ができたので、実際にNFTを買ってみようと思い、そのことをTwitterでつぶやいたら、「自分のアートを買ってください」というリプライが400件ほど殺到しました。それを全て見ていくうちに、どんどん解像度が上がっていき、自分の中で「NFTプロジェクトとはどういうものか」という仮説ができてきました。

やはり、実際にやってみることで圧倒的に解像度が上がるなと感じ、とりあえずやってみよう、というのが始めた経緯です。その中で活動してみて、すごく大きな気づきがあったのは、「Web3の時代」においては、株式会社としてチームを組むという従来の方法以外のやり方がある、ということです。

これまでは、株式会社という形態で株式で資金調達をして事業を進める、いわゆる「Web2的」な考え方が主流でした。しかし、ブロックチェーン技術をベースやNFTやトークンによって、個人のクリエイターが個人どうしでチームを組みながら、NFTをインセンティブとして活用し、エコノミーを回していくことができるなと。そういった仮説を検証してみようと思って、今の活動をしています。

NFTは「コミュニティ参加のためのチケット」

手嶋:なるほど。実際にやってみて「こうなっているのか」と分かったことなど、細かいことでも構わないので、何か具体例はありますか?

大塚:はい、本当にたくさんあります。まず、NFTはアートそのものが重要かというと、僕の中ではそうではないと考えています。NFTは、それを買うことによってコミュニティに属するための「チケット」になり、そのコミュニティのクオリティによってチケット、つまりNFTの価値が決まってくる側面があります。

例えば、NFTを扱う一番大きなコミュニティに「Bored Ape Yacht Club」というコミュニティがありますが、このNFTは数千万円します。なぜ数千万円も出してそれを買うかというと、非常にクールなコミュニティが存在するからです。著名人も参加していますが、そういった人たちとコラボレーションする機会が生まれるなど、コミュニティの価値が非常に高い。ナイキが買収したRTFKT(アーティファクト)も、その理由はやはりコミュニティが素晴らしいという点にありました。そういった点が、NFTならではの面白さかなと思っています。

また、やってみて分かったのは、「コインチェックの人間」としての顔と、「クリエイター」としての顔では、出会える人が全く違うということです。クリエイターとして活動していると、ミュージシャンやアーティストといった方々とのネットワークがどんどん増えていきます。彼らとコラボレーションして一緒に作品を作る、といったこともあります。

音楽の世界で、マッシュアップで新しい作品を作っていくカルチャーがありますが、それに近い出会いや事業機会がそこにはあります。「コインチェック」として出会うのとは違う形で、マッシュアップのように新しいものを生み出せる可能性はすごいなと感じています。

手嶋:その「クールなコミュニティ」では、すごい人たちとのコラボレーション機会があるとのことですが、例えば私が突然数千万円のNFTを買ったとします。私には音楽やアートの付加価値向上に貢献できるスキルがあるイメージが湧かないのですが、それでもそのコミュニティに入って、すごい人たちの中に突然入っていけるものなのでしょうか?

大塚:まあ、それは同じ趣味、例えば音楽が好きならその話で盛り上がれますし、そういうものですよね。感性の部分ですね。僕もコミュニティの中で「ダフト・パンクの音楽はこうで、じゃあこういう曲を作ろうよ」みたいな話をしています。

やはり「クリエイターの時代」になったなと感じますね。

手嶋:そういったやりとりが、日常的にDiscordの中で行われているんですね。NFTを買う前に、そのコミュニティが自分に合うかどうかを把握する方法はあるのでしょうか?OpenSeaやコインチェックのNFTマーケットで買う前に、です。

大塚:それは、そのNFTをすでに保有しているホルダーのTwitterアカウントの趣味や嗜好を見ることがポイントです。「誰が持っているか」は非常に重要なので、そこをチェックしたり、その人のMetaMask(ウォレット)に入っている他のNFTを見たり、OpenSeaのアカウントを見て「自分と趣味が合いそうだな」と感じるか、といったところですね。

本業とクリエイター活動の融合

手嶋:分かりました、ありがとうございます。少し抽象度の高い話かもしれませんが、コインチェックの本業と、大塚さんが個人でやられているクリエイターネットワークが融合するような事業機会もありそうだと感じます。直接的に「こういうことができたらいいな」とか、将来的に「こういうことができると面白いな」と思っていることはありますか?

大塚:個人としての活動は本当に趣味の範囲でやっているので、今すぐ事業に繋がるとは考えていません。ただ、出会う人々を見ていると、例えば今後CMを作る際に「このクリエイターと一緒に作ると面白いな」といった発想に繋がることはあるので、そういう面ではすごく活きてくるかなと思います。

手嶋:Web2の世界とWeb3の世界では、テック産業で活躍する人の性質も変わってきそうな予感を持っていらっしゃる感じですね。

大塚:そう思いますね。今やり取りしているクリエイターの中には、本当にすごいものを作れるのに、5,000円くらいで売ってしまっている人もいます。彼らが価値に気づいていなかったりするんです。そういったクリエイターの人たちが、NFTというものを理解してちゃんと使っていけば、新しいヒーローが生まれてくると思います。

Web2の世界が事業家やエンジニアの時代だとしたら、Web3の世界はより「クリエイターの時代」になっていくなと実感しています。

日本のクリプト産業の今後の展望

手嶋:「Web3」という言葉によって、これまで少し離れていたクリプトの世界とクリエイターの世界が近づいているのだと思います。今後の日本のクリプト産業について、法規制次第という側面もありつつ、大塚さんの視点からはどのように発展していくと見えていますか?

大塚:まず、暗号資産の「販売所」と「取引所」というビジネスモデルは、私も3年ほど前から思っていましたが、上位の1、2社しか勝ち残れないモデルだと考えています。

ユーザーの獲得コストなどを考えると、そうなります。なので、おそらく数社が勝ち残る状態になるでしょう。日本の暗号資産口座数もまだ500万程度なので、事業としてはまだまだ伸びていきます。

この数社のユーザー基盤が伸びていく上に、NFTや暗号資産が使えるゲーム(GameFi)といった、いわゆる「アプリケーションレイヤー」がどんどん載っていき、事業が広がっていくのではないでしょうか。そして、日本市場である程度の決着がついた後は、グローバルな戦いになります。CoinbaseやKrakenといった海外の取引所と、いかに戦っていくのか、あるいは棲み分けをしていくのか、というフェーズが待っている。そんな感じに見ています。

手嶋:Coinbaseが日本に進出してきていますが、もうサービスインまで行ったんでしたっけ?

大塚:はい、サービスインはしています。

手嶋:まだそこまで派手なプロモーションはしていない段階、ということですかね。

大塚:そうですね。

手嶋:ということは、いずれは厳しい競争になると見ていらっしゃるんですね。

大塚:ただ、これはFacebookやGoogleのようなWeb2のプラットフォーマーとは少し違うと考えています。情報産業でありながら、規制とセットの産業なので、特にローカルの規制にいかに準拠し、当局とコミュニケーションを取っていくかが重要になります。

そのため、グローバルで一つの事業者がすべてを取る、という状況にはなりにくい環境なのかなと思っています。

手嶋:少なくとも、Coinbase一社が日本のシェアを大きく伸ばす、というのは現時点では考えにくい市場だと。

大塚:そう思いますね。

手嶋:取引所事業でいうと、コインチェックは現在、取り扱い通貨の数が日本で一番多いですよね。今後も通貨の数を増やしていくことは重要な施策になりますか?

大塚:それだけではないですね。ほとんどのユーザーはやはりビットコインとイーサリアムを取引されるので、取り扱い通貨の多さだけが重要というわけではないと考えています。

手嶋:そうなると、総合的なブランド力や使いやすさ、セキュリティといった、トータルでの勝負になってくるわけですね。

大塚:そうですね。はい。

GameFiの可能性と規制

手嶋:「GameFi」が先ほど話題に出ましたが、いわゆるブロックチェーンゲームを日本でゼロから作るのは、法規制上難しいという理解でよいのでしょうか?

大塚:できなくはないですが、聞いていると、ゲーム業界では「ガチャ」が賭博法に抵触する懸念について、皆さん結構大変な思いをされているようです。そこがネックで、なかなか踏み込みにくいという状況なのだと思います。

手嶋:シンガポールなどに法人を設立して事業を展開している会社が多いという印象ですね。世界の潮流を見ながら、規制や法律が変わってくると、日本でもやりやすくはなる、という感じでしょうか。

大塚:おそらく、法律を大きく変えるというよりは、落としどころを見つけていくのではないでしょうか。過度にやりすぎない範囲での折り合いをつけながら、マーケットが少しずつ進化していく形かなと見ています。

手嶋:でも、日本のゲーム会社には、GameFiのような領域で世界を取ってほしいな、という期待感はありますよね。これだけゲームで伸びてきた国なので、そこは頑張ってほしいなという気持ちはあります。

大塚:そうですね。

手嶋:Web3という事業ドメインには多くの事業機会があり、スタートアップもたくさん出てくると思います。その中で、コインチェック社として「やる事業」と「やらない事業」の線引きは、今後どのようにつけていく可能性がありますか?

大塚:そこはすごく難しいなと思いつつ、一つ決めているのは「自分たちが得意なことに集中する」ということです。例えば、私たちは暗号資産のレバレッジ取引を提供していません。他社は提供していますが、私を含めて当社メンバーが金融やトレーディングに専門性があるわけではないですし、会社のミッションとしてそれをやりたいわけでもないので、そこには集中しない、という判断をしています。

手嶋:レバレッジ取引は、ある種プロ向け、マニア向けのサービスという理解だからやらない、という感じですか?

大塚:そうですね。金融のプロがやるべき領域だと考えています。私たちは、暗号資産を金融資産、金融取引の対象としてではなく、「お金を簡単に送金できる」といったテクノロジーの側面に注目したのが出発点なので。

手嶋:「得意じゃないことはやらない」ということでいくと、自社でゲームコンテンツ、例えばブロックチェーンゲームを開発することもしない、という判断になるのでしょうか?

大塚:そうですね、やらないと思いますね。(一方でコインチェックが新規事業で取り組んでいる)NFTのマーケットプレイスは現業のCoincheckのビジネスに近いですね。

グローバルで注目している取り組みやプロジェクト

手嶋:分かりました。ありがとうございます。他にグローバルで注目している取り組みや、会社、プロジェクトなどはありますか?

大塚:私は今、NFTの領域に注目しているので、最近出てきた様々なプロジェクトが、なぜうまくいっているのかという点を見ています。そして、そのプロジェクトが今後どのように動いていくのか、それを日本で展開するとどうなるか、といったことを考えています。また、GameFiは外せない領域なので、GameFiと、ゲームギルドであるYGG(Yield Guild Games)などは一定の規模になりそうだと注目しています。

手嶋:GameFiでいうと、既存の大手ゲーム会社も含めて多くのコンテンツが生まれてきて、大きな事業機会になると思いますが、最終的にはどうなるのでしょうか。スマートフォンのゲームも、最初はスタートアップがゲリラ戦で勝ちましたが、結局は本格的で面白いゲームを作れる会社だけが残ったように感じます。GameFiも同じような流れになるのでしょうか?

大塚:そうですね。それに加えて、ゲームで得たアイテムをNFTとして売買できたり、そのNFTホルダーのコミュニティがあったり、といった要素をうまく設計できたところが、次の王者になるのではないでしょうか。クオリティの高いゲームを作りながら、NFTをうまく活用したマーケティングまでできるところが勝っていくのかなと思います。

手嶋:IPも含めたエコシステム作り、という感じですね。単にゲームを作るだけでなく。Axie Infinityは、エコシステムの設計のために経済学者を雇っているという話も聞きます。

大塚:そうですね。エコシステムを作って、そのエコシステムが大きくなった分だけ、プロジェクトの時価総額が上がっていくという仕組みです。

手嶋:今、Axie Infinityはどれくらいの規模になっているんですか?

大塚:具体的な規模は失念しましたが、ものすごい規模になっていますし、成長のスピードも凄まじいですね。

手嶋:登場したのは2年くらい前でしたっけ?

大塚:そうですね。Axie Infinityの成長にはコロナ禍が大きく影響しました。多くの人が移動が制限されて居住地以外での仕事ができない状況で、(Play to EarnのAxie Infinityに)プレーヤーが増えたという側面もあります。仕込みから考えると2年くらいかかっていますね。

手嶋:なるほど。コロナが影響したというエピソードは聞いたことがありましたが、本質的にはそういうことだったのですね。

大塚:コロナで仕事に行けない人たちがいて、そこにさらに投資家の余ったお金が流れ込み、それがうまく噛み合った、という流れですよね。

株主総会のDXサービスを手がける狙い

手嶋:分かりました。少し話は変わりますが、大塚さんご自身が手がけられている「Sharely※」の事業についてお伺いします。株主総会のDXサービスですよね。Sharely自体は、ブロックチェーンは使われているのでしょうか?

※バーチャル株主総会支援サービス「Sharely」は2024年3月にエキサイトホールディングス株式会社に事業譲渡しました

大塚:いいえ、Sharelyではブロックチェーンは使っていません。

手嶋:では、なぜコインチェック社としてこの事業に取り組むことになったのでしょうか。社内的にはどのような意義があると整理されていますか?

大塚:理由は2つあります。1つは、コインチェックは「暗号資産の会社」というイメージが強いですが、もともと仮想通貨がやりたくて作った会社ではない、という点です。私たちは「テクノロジーで世の中の困っていることを解決する」ために作った会社です。法律が変わったり、新しい技術が出てきたりといった事業機会を捉えていこう、というスタンスがあります。今回、会社法の改正で株主総会のオンライン開催が可能になったという法的な変化があり、そこに事業機会があるだろうということで始めました。

もう1つは、暗号資産事業はどうしても相場に業績が依存してしまう側面があります。会社としては、安定的に成長する事業ポートフォリオを持ちたいという思いがありました。そこで、SaaS型のビジネスモデルで事業機会を探し、挑戦したという背景もあります。実際に、株主総会の運営で困っている方は非常に多く、多数のご相談をいただいています。

手嶋:その事業は、代表の和田さんと大塚さんで「新規事業を作ろう」と枠組みを決めてからアイデアを探したのか、それとも日常の中で「これをやってみよう」とゲリラ的に始まったのか、どちらに近いですか?

大塚:会社の状況として、私たちが既存事業から少し手を離した方が良いというタイミングがありました。そして、コロナ禍を脅威と捉えるだけでなく、機会として捉えたときに何ができるかを考え、そこに事業機会を見出した、という流れです。期間と予算を決めて、「とりあえずやってみよう」という形で、社内の数人で始めました。

手嶋:やると決めてからリリースまで、相当短かったですよね。

大塚:そうですね。私とエンジニアの和田とで、「じゃあ1ヶ月で作って」と。その間に私がお客さんを開拓してきて、実際に何社か契約が取れたので、「じゃあスケールさせていこうか」という、そんな感じでした。

手嶋:現在は組織化されて、大塚さんが責任者でありながらも、現場が中心となって回っている状態ですか?

大塚:はい。事業部長がいて、その下にセールス、カスタマーサクセス、マーケティング、開発の各ラインがあります。私はもう日々の業務は見ておらず、彼らがどうすれば事業を成長させられるかを考え、実行しているのをサポートする立場です。

手嶋:コインチェックという会社の長期的な事業ポートフォリオで考えると、究極的には「テクノロジーで世の中に価値提供できるのであれば、何をやってもおかしくない会社」ということですね。

大塚:はい、極端に言えばそうなります。長期的に見れば、何をやっている会社か分からなくなるかもしれませんね。

経験よりもカルチャーフィットを重視する採用戦略

手嶋:では最後に、採用についてと、大塚さんが出された書籍についてPRをお願いします。NFTマーケットプレイス事業で積極的に採用されているとのことでしたが、全社的に他に強化しているポジションはありますか?

大塚:全社的に、特にRubyの開発者は常に求めています。事業が伸びるのが明確に見えているので、開発者がいればいるだけ事業を伸ばせます。ブロックチェーンのエンジニアはまだ少ないので、社内で育成していくことも考えています。採用における一番の注力ポイントはそのあたりですね。暗号資産やNFT、Web3に興味のある方がいらっしゃったら、ぜひご応募ください。

手嶋:「にわかWeb3」の人が増えていると思うんです。これは揶揄しているわけではなく、前向きな意味で、優秀な人がWeb3に興味を持ち始めているという意味ですが、そういった「仕事にしたことはないけれど、経験を積みたい」という人でも応募して大丈夫でしょうか?

大塚:「Web3の経験を積みたい」という方に対してですが、私たちは業務経験そのものはそれほど重視していません。それよりも、私たちのカルチャーに合うかどうかのほうが、ずっと重要です。ですので、「自分にはまだ早いかな」などと考えずに、ぜひ飛び込んできてほしいなと思っています。

手嶋:どのようなカルチャーの方が合うのでしょうか?

大塚: まずは、データに基づいて論理的に話ができることですね。雰囲気で話を進めない、ということを大切にしています。また、周りの人に対してリスペクトを持ち、悪く言わないこと。当たり前のことですが、私たちは特に重視しています。

そして、暗号資産やNFTの世界は状況が目まぐるしく変わるので、その変化を楽しめる方が良いですね。「計画と違うじゃないか」とネガティブに捉えない人が理想的です。基本的には、一般的なスタートアップで求められる素養があれば、大丈夫だと思います。

手嶋:現在、社員数は何名くらいですか?

大塚:160〜170名くらいです。

手嶋:スタートアップとしてはミドルサイズですね。今後2、3年で何人くらいまで増やす計画ですか?

大塚: 300人くらいを目標にしています。2年くらいで倍になる計画ですね。そのため、マネージャー層の方に来ていただきたいと思っています。マネジメント志向のある方、ぜひお待ちしております。

手嶋: 分かりました。Web3は、飛び込んでみないと知見がたまりませんし、仕事にするのが一番の近道だと思います。その中でコインチェックは日本有数の会社だと思いますので、興味がある方はぜひ採用サイトから応募してほしいですね。

最後に、書籍についてお願いします。数年前に出された本のアップデート版として出版されたと思いますが、どのような本で、読むと何が得られるか、PRをお願いします。

大塚: はい。3年ほど前にビットコインの基礎に関する本を出したのですが、そのアップデート版になります。ビットコインはもちろんのこと、先ほどお話ししたNFTやDeFi(分散型金融)といった領域が今どうなっているのかを、一連の流れに沿って分かりやすく解説しています。「NFTって聞くけど、一体何だろう?」と思われているような方に、まず全体像を把握していただくのに最適な本になっているかと思います。ぜひ、お手に取っていただければ嬉しいです。

手嶋:タイトルは『最新 今さら聞けないビットコインとブロックチェーン』でよろしいでしょうか?

大塚: はい、そうです。

手嶋: 私も読ませていただきましたが、基本的なことが体系的にまとまっている素晴らしい本でした。Twitterなどで「Web3」という言葉を見て興味を持ったけれど、知識にムラがあるなと感じている方に、まず読んでいただくと良いのかなと思います。そして、Web3の世界では様々なアクションが起こせます。コインチェックで働く、あるいは自分で起業する、NFTプロジェクトに参加してみるなど、個人でも多くの選択肢があります。

このインタビューを聞いてくださった方には、ぜひ受け身にならず、何かを始めていただけたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございました。

大塚: ありがとうございました。



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