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#21 社会と経済を「自分ごと」に。『サステナブル資本主義』に込めた想いと、スタートアップの役割 - シニフィアン共同代表 村上誠典氏

#21 社会と経済を「自分ごと」に。『サステナブル資本主義』に込めた想いと、スタートアップの役割 - シニフィアン共同代表 村上誠典氏の画像
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「スタートアップ オフレコ対談」は、XTech Venturesの代表手嶋とゲストの方をお呼びして対談する番組です。今回はシニフィアン共同代表の村上誠典氏に話を聞きました。

後編では、村上氏が投稿したnote「株式市場の調整がもたらすスタートアップへの影響」の内容にもあるスタートアップへの資本政策、採用競争の影響を深堀りしたほか、村上氏の著書「サステナブル資本主義」の執筆背景、投資家がなぜダイバーシフィケーションを持つ必要があるのかも語ってもらった内容になっています。

<スピーカー>

・村上 誠典氏(@Murakami_Japan
シニフィアン共同代表

・手嶋 浩己(@tessy11
XTech Ventures代表パートナー

<目次>

・市場のコンテキストを伝える。村上氏がnoteを書いた真意
・noteも本も「一気に書き上げる」。村上流の執筆術
・note執筆から1ヶ月。「想定通り」の市場と「次の戦い」
・なぜ『サステナブル資本主義』を「本」で出したのか
・本を「届けたい層」に届ける難しさ
・社会と経済を「自分ごと化」するきっかけに
・投資家に求められる戦略の「ダイバーシフィケーション」
・狭き門でも「めげずにリーチしてほしい」

※記事の内容は2022年3月時点のものです。

市場のコンテキストを伝える。村上氏がnoteを書いた真意

手嶋:はい、後半戦を開始できればなと思っています。まず、村上さんがnoteに転載されてすごいバズっていた「株式市場の調整がもたらすスタートアップの影響」という記事ですが、僕は最初、NewsPicksか何かで見たんですよね。

今までのお話を聞いていると、村上さんはご自身の知見を世の中に還元し、全体を底上げすることで役割を果たしたいという意識が強いと感じました。そうすると、SaaSの株価が下がっていく中でこのnoteを出したのも、目的意識を持って整理されたのかなと思うのですが、合っていますか?

村上:そうですね。おっしゃる通りで、市場の感覚はニュースを見ているだけでは本当の意味では伝わらないと思っています。株価が下がっていることを「自分が危険だ」と認知できる人はほとんどいないと思うんです。「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、ここの連想はほとんどの人ができません。

今、ウクライナ(※収録当時)の件もあって株価がさらに動いても、「俺は俺がやるだけで特に関係ない」と思っている経営者・起業家はいくらでもいると思っていて。それだけ、ダイレクトにはコンテキストが伝わらないと思ったんです。

一方で、変化のコンテキストを知らずに経営することが、非常にもったいない、かつ場合によっては大きなリスクを背負うことになると理解していました。あれがどう受け取られるか当時は想像しませんでしたが、とりあえず少しでも読んでもらえる人が増えれば、スタートアップエコシステムの経営に対して良いインパクトがあるのではないかと思い、書いたわけです。

あれを読んでも何も感じない人もいるかもしれませんが、読んで感じる人もいる。世の中に流れているものをコンテキストとして理解し、結果的にいろんな人が参照していただくことで、意味のあるコンテキストだと認知してもらうのはすごく意味があると思っています。

私はダイレクトに一人ひとりの経営者とお話はできませんが、経営に生かしていただいて、日本の中からこのターム(局面)を、より多くの方がより良い形で乗り越えてもらえるために行ったのかなと。

おそらくリーマンショックや前回のコロナの時ほどではなく、「ちょっと関係ないやん」というぐらいのレベル感が、逆に一番危険だなと思うんです。ノーガードでパンチを食らうような。なので、ああいう記事を書きました。

結果的には多くの方に読んでいただけてよかったですし、あれを読んだことで経営戦略を(変えた)という経営者の声もありがたいことに色々聞いているので。

手嶋:結構影響を与えたと思いますね。

村上:書いてよかったなと思っています。

手嶋:うちも(投資先の)Facebookグループがあるんですけど、「絶対これすぐ読んで。今後の資本政策を変えないと判断してもいいけど、一回考えて」というのを送りました。

村上:ありがとうございます。皆さんに広げていただいたおかげです。

noteも本も「一気に書き上げる」。村上流の執筆術

手嶋:そういうベンチャーキャピタルなり起業家ネットワークの中に広がっていた記事かなと思うんですけど、素朴な疑問ですが、いつも凝縮したコンテンツだと思っているのですが、これ(note)はどれくらいの時間で書いているんですか?

村上:これが、私、書くのは凄く早い見たいです(笑)。一番驚かれたのは、会社のリリースが出てから数時間後に僕がそのnoteを出す、というのを何回かやっていることです。それくらい早いんです。

手嶋:では、もう得意技なんですね。

村上:僕は理系で、学生時代を知る同級生からすると典型的な理系人間。国語とか英語とかそういうキャラじゃないのに、ゴールドマン(・サックス)に行って英語を喋ったり、本を書いたりして驚かれた、というので。まあ、川端康成とか谷崎潤一郎みたいな文章は書けないんですけれども、早く書くことはできる、ということにシニフィアン(の仕事を)やり出してから気づきました。

手嶋:やり始めてからなんですね。

村上:時間をかけると逆に筆が止まってしまうんです。だから一気に書き上げる。アーティストや書道家みたいな感じかもしれません。2時間悩んでも、書き出したら10秒で書くみたいな。書き出したらバッと書き終えます。

で、今回は本も書いたじゃないですか。10万字超えてるんですけど、これまでnoteやNewsPicksの寄稿は長くても1万〜1万3000字だったんですね。だから、10万字超と聞いても「10回分か、すぐだな」と思っていたんです。ですが、単純な「×10」ではありませんでした。

手嶋:同じテーマで10倍近くは大変だった、と。

村上:1回分なら自分の主張をコンパクトにまとめればいいですが、10回分重ねると出版社の編集の方の意見も入ってきます。1から10(の足し算)だと思っていたら間違いで、10の10乗の方が近い、という印象を持ちました。でも、書くのは早いです。いつも「今日書こう」と思ったら、朝パッと書くとか、夕方パッと書くとか。意外と時間がないので。

手嶋:普段からこういうことを考えていて、頭の中が整理されているから、短時間で書けるんでしょうね。

note執筆から1ヶ月。「想定通り」の市場と「次の戦い」

手嶋:noteを出してから1ヶ月経ちましたが、株価はじりじり下がり中です。(ウクライナ情勢のような)1ヶ月前は分からなかったこともありますが、1ヶ月後の今、感覚的には「まあ、そういうことだよな」という展開が続いている感じですか?

村上:去年の年末からきな臭さを感じていて、年明けに「これは全体に伝えなければ」と思って書きました。きっかけは、極めて楽観的な意識でプレーしている人の声を年末年始に大量に聞いてしまい、「(実態との)ギャップがすごい」と感じたからです。

その後の経緯は想定通りに来ています。このトレンドは、数ヶ月や1年単位で継続してしまうかもしれないと思っていたので、残念ながらというか、想定した通りに物事が進んでしまっています。

ただ一方で、情報の流れ方として「想定以上に広がってきているな」と思うのは、私のnoteが広まったこともそうですが、リアルに投資家と対峙する起業家が増えたことです。僕のnoteのコンテキストを知りながら投資家と対すると「あれ?」と感じることが多かったと思うんです。そのリアルな肌感が、起業家ネットワークを通じて伝わってきている。

人に言われても信用しないけど、自分で体験すると実感は湧くし、信頼する起業家から聞くと実感する。私が書いたことである程度地ならしができて、実体験がこの1ヶ月半でエコシステムに伝わったことで、本当に心から納得して戦略に踏み出す人もいるでしょうし、逆に(調達を)絞る人もいるかもしれない。意思決定に取り入れられたのは、リアリティとして感じる場面がこの1ヶ月半だったんだと。年初に出してすごく良かったなと思います。

手嶋:タイミング的には一番影響力があるタイミングだったかなと思いますね。具体的に言うと、まずは資金調達環境が変わるというダイレクトな影響で、大きく投資してくれる海外投資家の数が減り、投資家間の競争も減り、上場マーケットのバリュエーションも下がってくる。ダイリューションが上がるようなことが第一次影響として出てくる。

資金調達環境の変化(ダイリューションが増える、調達額が下がる等)は、皆さん織り込んで動いています。その次の段階として、起業家にはどのような影響が出てくると想像されますか?

村上:おそらく次に起きそうなのは、noteの最後にも少し触れたかもしれませんが、人材獲得競争の激化です。給与水準が上がったり、アグレッシブなオファーをするスタートアップが増えると予想しています。スタートアップによってはオファーしきれない、ということが起きると、想定以上に採用に苦労するか、採用コストが上がるか、もしくは競合が採用を強化することで実力者が採れなくなる。

今年は「人的資本の奪い合い」が待っているのかなと。資本政策で後塵を拝すると、人的資本の奪い合いでもさらに後塵を拝するというネガティブスパイラルに陥る可能性があります。なぜなら、スタートアップのポテンシャル自体は下がっていない。二極化していく中で、勝ち組企業は人的資本の重要性を感じています。

こういうマーケット環境ですが、僕自身がこの数ヶ月で一番時間を使っているのは、人的資本の活用や獲得です。そこが今年のテーブル(論点)であり、一番差がつくポイントではないかと予想して動いています。

手嶋:前向きな意味で、この2年ぐらいでスタートアップサイドの給与水準はかなり上がってきましたよね。資金調達環境がどうなろうが、その水準、特にスタープレイヤーの給与水準は下がらないですよね。きちんと(給与の)高い人を採用してきて、かつその人に活躍してもらうことが大事になっていますね。

村上:そうですね、両方必要ですよね。

手嶋:昔『ウォール・ストリート・ジャーナル』で「ウォール・フォー・タレント(人材獲得戦争)」とありましたが、まさしく日本も20年遅れぐらいでそういう時代が来たのかなって感じですよね。

村上:これは実体経済とか大企業マーケットにも影響があると思っています。今までスタートアップが与えた影響に、この人的資本の奪い合いをスタートアップとして出すことが、すごく実体経済にも影響があります。『サステナブル資本主義』という本でも書きましたが、スタートアップの人的資本への投資は、競争環境の中でも重要ですし、サステナビリティにおいてもすごく重要です。両面がつながっている話なんです。

しっかりと給料を上げていくことが、持続可能な社会や、今注目されている日本の成長(分配か成長か、結局は生産性の向上)と重なってくる。手嶋さんがおっしゃる通り、凝縮して給与を上げ、それ以上の効果を出す。これができるスタートアップをいかに増やしていけるかが、僕らの使命なんじゃないかなと思います。

なぜ『サステナブル資本主義』を「本」で出したのか

手嶋:良い流れなので、村上さんが出された書籍『サステナブル資本主義』についてお伺いしたいのですが、出版のきっかけは何だったんですか?

村上:以前シニフィアンで『ファイナンス思考』という本を出して、本を出すプロセスは体験していました。その後コロナ禍で状況が変わり、コンセンサスを作ったり大事なものを届けたりすることがより難しくなったと感じ、僕自身もコロナ禍で(時間ができたこともあり)noteなどの情報発信を増やしていたんです。

2020年頃から、真面目なガバナンスや戦略の話だけでなく、時事ネタや個人的に興味があるネタ(ライフネットの話やサステナビリティの話など)も書くようになりました。

そうすると、そういうネタに興味がある人も世の中にはいて、「こういう話をもう少し聞きたい」という声をいただくようになり、2021年の年初ぐらいに「持続可能な社会は、企業価値の向上に」というnoteを書いたところ、これが反響を呼び、それを見た方から連絡があったのが出版のきっかけです。

手嶋:とはいえ、本を書くのは大変じゃないですか?

村上:さっき言ったように1万字は余裕で書けるから「10万字もいけるか」と思っていたら、大変だということを実感しました(笑)。

手嶋:それでも書こうと思えたのは、このテーマに熱意があったからですか?

村上:もっと実務的な(ファイナンスやCXO向けの)真面目な本の方が書きやすいとは思います。今回、忙しい中でも本を書いてみようと思った理由は、これが比較的「ふわっとしたテーマ」だったからです。

いつもの実務書であれば、本にしなくてもnoteやNewsPicksで、読んでほしいコミュニティ(起業家や投資家)には最低限届きます。逆に、そこを超えた読者は興味がないトピックです。でも、『サステナブル資本主義』で書いたテーマは、起業家や投資家だけでなく、もっと一般の方に読んでほしかった。

特に、未来を担う若い学生さんや、意識は高いが(この分野に)フットプリントがない若いビジネスパーソン、場合によっては中高生。そういう方々にこそ読んでもらって、世の中で今何が起きていて、どういったことに皆が注目しているのか、スタートアップ、資本市場や資本主義がどういう役割を果たし得るのかを、マスメディアや政治家ではなく、スタートアップの実務家という立場で知ってほしかった。

手嶋:なるほど。

村上: なぜなら、持続可能な社会を担う中心人物は、政治家ではなくスタートアップである可能性が高いと思っているからです。そして、若い人たちです。しかし、スタートアップやサステナビリティの議論は、本当に密室で行われるぐらいスモールワールドなんです。でも、より多くの人が認知しないと絶対に実現できない。スタートアップは少人数でレバレッジをかけて急成長させていていきますが、最終的には消費者、労働者、社会をダイナミックに巻き込まない限り、本当の成長はないし、社会変革も起きない。表と裏の関係です。

このギャップを埋めるにはnoteでは足りないと思い、「これは本にする価値があるな」と。本を書けば一般の人も手に取るかもしれないし、プロ筋(手嶋さんのような方)が読んでも、素人(学生さん)が読んでもわかるような文体と内容に、ある種ダウングレードして書いてみようと思いました。

本を「届けたい層」に届ける難しさ

手嶋:出版して1ヶ月ほど経ちましたが、本にしてよかったという手応えはありますか?

村上:2つ相反することがあります。1つは良かった点。これまで僕に興味がなかったような層、どちらかというとビジネスより「社会」に向いている人たちに届いたことです。「ビジネスは苦手だけど社会に向いている人」がこの本を読んで「なるほど」と。

あとは、中学校で授業をやってみたり、そういう教育現場の人に「いかに中高生・大学生に届けるか」という点で、多少引っ掛かりができました。ビジネスやスタートアップには縁遠いけれども、社会や教育、地域に興味がある人たちへブリッジする役目として、手応えはあります。これはnoteでは全く届かない層なので、書いてよかったです。

一方で、難しいなと思うのは、想定していましたが、今、本を読む人が非常に少ないことです。40代、50代の「おじさん」が一番ビジネス書を読んでいますが、僕が届けたい学生さんや若い人、女性はあまり本を読まない。

分かっていたことですが、僕の周りにいる層を飛び越えた人に届けるのは、本を書くことで一歩は踏み出せましたが、まだまだだなと。

これからはメディアの方の力も借りながら、コンセプトを届けていきたい。僕は「スタートアップ代表」として、社会にサステナビリティのOSをインストールする役目を担っていると思っています。社会にOSが浸透すれば、スタートアップのOSも(サステナビリティが)ベースにあるので、スタートアップが広がった時に加速的に(サステナビリティが)広がり、持続可能な社会の実現が早まると信じています。

なので、メディアの方にはいくらでも時間を取って発信したいですし、一般の方に重要性を発信する機会をいただければ、ぜひやりたいですね。

手嶋:届けたい人たちにメッセージを届けるためには、結局、動画に出るとか、そういう世界なんですかね?

村上:そうなんですよ。以前、週刊プレイボーイから取材が来て、読者層が違うので、それで知った人もいるんです。でも、おっしゃる通り、やっぱり動画の方が反響がありますよね。やるしかないですね。

手嶋:きっかけ作りとしては十分ね、動画で言えることは少なくても。

村上:誰かインフルエンサーマーケティングやってくれないかなと思うんですけど(笑)。

手嶋:書籍のマーケティングも柔軟な時代になっているということですね。

村上:真面目なテーマでバズらせるって、一番難しいですから。

社会と経済を「自分ごと化」するきっかけに

手嶋:書籍に関して、ネタバレしない範囲で「こういうことが書いてあるよ」というのを、ざっくりと教えていただけますか?

村上:僕が一番伝えたいのは、今、経済や社会を「自分ごと」にできなくなっていると思うんです。情報化社会で、パーソナルに使える情報とマスメディアの情報が溢れる中で、自分に都合のいい部分だけを切り取って社会との接続を求めるような時代になっていて、本当に自分が社会にコネクトしている感覚を持っている人は減っていると思うんです。

もちろん、総理大臣とか、メルカリの山田進太郎さんとか、ソニーの吉田さんとか、影響力のある人は「社会を動かす」感覚を持っているかもしれないけど、99.9%の人はそうじゃない。

それではサステナビリティは実現されないと思っています。この本は、なぜ自分たちが社会とコネクトし、影響を与えられる存在であるのか、そうあるべきなのか、ということに気づいてもらえるものだと思っています。

日々ビジネスをしたり生活したりしながら、自分が社会の中でどういう存在で、これから社会がどうなっていき、自分はどうすればいいのか。明確な答えがなく悩んでいる人が読めば、何かのきっかけが掴めるのかなと。それは生活者・消費者として、労働者として、あるいは経営者としての側面もあります。あらゆる立場で、それを「自分ごと化」するきっかけが入っています。

その一つの旗印が、今はサステナビリティなんだと思うんです。だから、サステナブルや資本主義ということを勉強したい、というだけでなく、社会とか、経済との関係性についても、もう一度自分を見つめ直して、社会に還元していきたいという方には、本当に読んでいただきたいなと思っています。

手嶋:わかりました。ありがとうございます。

投資家に求められる戦略の「ダイバーシフィケーション」

手嶋:最後に一つだけ。タイガーグローバルが未上場株から上場株に戻る、あるいは未上場でもより早いラウンドに、といったニュースが出てきています。いわゆるクロスオーバー投資家(非上場と上場の両方に投資する)が一つの流れかなと思います。また、セコイアのストラクチャー変更(運用期間の長期化など)も去年の話題になりました。

短期的には(クロスオーバー投資からの)揺り戻しが来ている中で、長期的には、これは定着するトレンドになるという認識ですか?

村上:長期的には、投資家の戦略とか立ち位置のダイバーシフィケーション(多様化)がもっともっと進むと思っています。そして、進むべきだとも思います。

例えばタイガーは、僕の想像ですが、戦略の時間軸が短い。その時々で戦略を変えていくんだと思うんです。儲かるなら、時代が取れるならやると。対してセコイアが取った戦略は、時間軸が多分、長い。10年単位で見ているはずです。ファンドによって戦略の時間軸はバラバラです。

翻って今、日本の投資家は、ものすごくダイバーシフィケーションが進んでいません。シードの戦略、アーリーの戦略、と非常にこの投資家の属性が均質です。レイターもクロスオーバーも少ない。だから、中長期的には、本当の意味で、多様な時間軸や戦略を持った投資家がもっともっと育っていくべきですし、そうなってほしいと思います。もしこれからVCやファンドを起業したいという人がいたら、ユニークな戦略でファンドを作ってほしいと本当に思います。

テーマだけじゃなくて、テクニカルな面も含めて、本当にユニークな戦略。よく「ユニークだ」と言っていても、遠くから見るとほぼ一緒、みたいなことが多い。日本にはファンド側のユニークさが相当少ない。そこが課題です。

手嶋:その時は、ちょっと村上さんにオリジナリティの有無を相談に行こうかなと。「これで考えてるんですか?」「いや、それは小手先じゃないですか?」みたいな議論をさせていただきたいなと思います。

狭き門でも「めげずにリーチしてほしい」

手嶋:はい、ありがとうございます。もし「ぜひ村上さんに投資していただきたい」という起業家がいたら、連絡しても大丈夫ですか?

村上:そうですね、連絡をもらいやすいチャンネルとしたら、TwitterのDMか、シニフィアンのHPの問い合わせからお願いします。

ただ、本当のところ、うちは非常に限定してしか投資できないファンドなんです。でも、投資できない=ダメというわけではなく、ファンドとして投資できないだけなので、それはそれで、いつも何か違う形で応援したい、関わりたいと思っています。

可能性があって、志だけじゃなく、本当に世の中を変えていくような戦略と誠実さを持っている、いいテーマに張っていらっしゃる方がいれば、フェーズにかかわらず、お力になれることがあればと思っていつもやっています。

お金だけを期待されると、フレキシブルに投資できるファンドは他にいくらでもあるので、がっかりさせてしまうことが多いのですが、諦めずにリーチいただけると嬉しいです。

手嶋:まあ、狭き門だと思いますけど、村上さんと一回面談するだけでも、いろんな発見が(レイター)ステージの起業家の方にとっては、あるんじゃないかなと思いますので、めげずに連絡してください、という感じですね。

村上:はい、TPOでやってるので。Zoomでよければいつでも。

手嶋:ありがとうございます。今日は前半・後半にわたり、シニフィアンの村上さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

村上:ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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