仕訳から起業家支援までー代表パートナーとファンド管理責任者が語るXTechVenturesの舞台裏ー

スタートアップ出資という“攻め”のイメージがあるベンチャーキャピタルの裏側で、“守り”を一手に担いながら代表パートナーと密に連携し支える存在のファンド管理。XTech Ventures代表パートナー手嶋とファンド管理責任者を担っている佐野に、VCにおける“管理部門”の仕事のリアルとは?XTVが今、管理人材採用に動く背景や求める人物像について話を聞きました。
銀行に新卒入社し営業経験後、事業会社での財務、経理、資財調達業務等に13年間従事。2017年、新設子会社の朝日メディアラボベンチャーズに唯一の管理担当として出向し管理を6年間担当後、2023年4月にXTech Venturesにファンド管理部門の1人目として参画。現在、ファンド管理責任者として全体を担う。
代表パートナー 手嶋 浩己
博報堂に新卒入社後、2006年インタースパイア(現ユナイテッド)入社、取締役に就任。その後、2度の経営統合を行い、2012年ユナイテッド取締役に就任、新規事業立ち上げや創業期メルカリへの投資実行等を担当。2018年同社退任した後、Gunosy社外取締役を経て、LayerX取締役に就任(現任)。平行してXTech Venturesを創業し、代表パートナーに就任(現任)。
インタビュアー:インベストメントマネージャー兼 Chief Of Staff 鈴木かおり
管理体制と採用の背景
──いよいよXTVのファンド管理チームの採用・体制強化開始ですね。まずは現在の体制や採用活動の背景から教えてください
手嶋:
XTech Ventures(以下、XTV)は、2018年に私と西條との2名で立ち上げたファンドです。1号ファンドは50億円規模と大きくはなかったこともあり、ファンド管理の実務は外注して、ディレクションを自分達ですればよいと考えていました(ファンドへの出資者の方々も前職までの繋がりと信頼で預けてくださったため、形式的な管理体制は必須でなかったことも大きかったのですが)。
その後、2つ目のファンドを120億円規模で組成し運用をしていくなかで「専門性ある人材・組織は内部に絶対に必要」と認識しました。
実際に、2号ファンドレイズ直後の2021年当時は管理部門が存在しなかった時、自分をはじめキャピタリストメンバーも管理側に意識が向いてしまいスタートアップとの接点量が減ったり投資検討が遅れてしまったりするなどの停滞も経験しました。その課題意識から、まず1人目として佐野に入ってもらいXTVに管理部門を作ることができました。
現在、3つ目のファンドの組成も進んでおり、会社全体で扱う金額規模がさらに増えているため、2人目の採用が必須と考えています。
ファンド管理の仕事内容とやりがい
── 実際の管理部の仕事内容についても詳しく教えてください。
佐野:
業務は多岐に渡るのですが、現在運用している3つのファンドそれぞれに対して以下の業務を行っています。
ファンド会計業務(仕訳入力、決算書作成と監査法人対応、出資者への決算報告)
資金管理(投資可能額の把握、資金不足時のLPへの出資金払込依頼など)
ポートフォリオ(投資先スタートアップ)の数値状態およびファンド全体のパフォーマンス状況のモニタリング・取りまとめ
投資・売却の実行オペレーション
IR活動の一貫として、出資者向けの報告書の作成および代表パートナーやキャピタリストと連携したファンドの状況報告の実行(総会等を含む)
ファンド組成時期にはファンドのスキーム整理、投資家向けの説明・デューデリジェンス対応や契約締結までのオペレーションなど
これらをすべて自分で行うわけではなく、会計士・弁護士・外部専門家に相談しつつ進めています。XTV自体は株式会社でもあるため、法人としての会計・税務・労務も同様に外部専門家と協力しながら全体を管理しています。
── 他のメンバーや代表パートナーとはどのように連携していますか?
佐野:
投資実行や投資先モニタリングにあたってはフロントのキャピタリストと密に連携し裏側のサポートを担っています。また、キャピタルコールやファンド全体のパフォーマンスについての出資者への報告など、GPと日常的に確認を取り合っていますね。
── 代表パートナーから見て、管理部門の存在はどのような意味を持ちますか?
手嶋:
管理部がいるから安心して「攻め」の活動ができている、と日々実感しています。佐野が入社前は「今日振り込み日だ、大丈夫か」と日々確認するような状況だったので(苦笑)本当に有り難い存在です。今回、人を採用し強化することで管理部内でも相互にカバーできる体制を作っていきたいなと。
── VCファンド管理業務の中でやりがいを感じる瞬間、面白さはどこにあるとお考えですか?
佐野:
管理部門では経理・財務・労務など分業されているところが多いと思うのですが、管理業務全般を幅広く経験できます。そこが一番のやりがいですかね。また、スタートアップの急成長、時には停滞して資金繰りが苦しい時期を超えて成長していく企業も間近で見られるのも貴重です。リスクを取りながら成長する企業を支える立場として面白さを感じます。
手嶋:
一番は「多くのスタートアップに関わることができること」かなと。1社に深く関わろうとすると10年以上かかりますが、VCであれば多数の企業を支援できます。好奇心旺盛な人には非常に楽しいと思います。また、ファンド管理部門は自分のペースで進めやすい仕事でもあるかなと思います。
新しい取り組みと今後の展望
── 管理部門として定常業務だけでなく新しい取り組み・プロジェクトもしている何かしら、最近取り組みはありますか?
佐野:
最近取り組んだものはポートフォリオ管理の進化ですかね。投資先数値情報の全体把握を今までキャピタリストから連携受けてスプレッドシートに手入力していたものを、専用サービス(Smartround)に移管したことで、投資先からの情報連携〜データ一元管理・見える化・分析までシームレスにできるようになりました。管理部門だけでなくステークホルダーの工数も削減できたと思いますし、誰でも見やすく、誤操作も防げるようになったことは大きな進化です。
──今回、採用で2人目を迎えられた時に取り組みたいことのイメージ、ありますか?
手嶋:
カバー体制の構築(誰かが不在でも安定運用できるような組織づくり)
高度化(ミドル業務への展開。例えばLPと投資先の橋渡し、創業期の管理支援、融資支援、IPO準備の標準化など)
この2つですね!
求める人物像とキャリアの魅力
── どういった人がXTVファンド管理に向いていると思いますか?
佐野:
スタートアップや新しい事業・新しい取り組みに幅広く興味を持てる人。後は裏方として支えることにやりがいを感じられる人ですね。起業家・投資先で働いているチームの方々に対して、数値から見えてくる客観的な状態を見てキャピタリストと連携した支援だったり、自分の経験・専門性で貢献できる観点が、一見地味な観点かもしれないですが確実にあるので、そういったことにやりがいを感じられる人には面白いポジションだと思います。
──まさにXTVのバリューの1つ「隙あらば貢献」を体現されたような人ですね。手嶋さんはどうでしょう?
手嶋:
エネルギーがある人ですね!「自分の仕事はここまで」と決めてしまう人や、曖昧な立ち上げフェーズに興味がない人は合わないと思います。
──ファンド管理未経験でも挑戦できるポジションと仰っていますが本当ですか?
佐野:
はい。私自身、経理しか経験がないところからファンド管理を0から学んだ経験があるので基礎的な会計の理解があれば十分に実務を通して吸収いただけるかと。私も今も専門的なことは専門家と相談しながら進めていますしね。興味を持って学べる人なら未経験でも大丈夫です!
── この仕事を通じて得ることができるスキルや経験やキャリアパスについてはどうでしょうか。
佐野:
通常の経理・財務に加え、IPOやM&Aといった出口戦略に関わる経験は大きいです。投資先の上場や株式売却を実務として支えることは、なかなか得られない経験だと思います。
手嶋:
キャリアについては専門性を高めてほしいと思っています。大企業のように幅広い部署を経験するわけではなく、ファンド管理のプロとして市場価値を上げられるキャリアです。XTVでも中長期的には責任者ポジションを担うチャンスもありますし、ファンド管理経験は市場でも評価されるはずです。
── XTVのファンド管理で働くPRポイント、今までにでていない観点であれば是非。
手嶋:当社はJVCAのファンドパフォーマンスランキングでも上位常連です。成果が出ているファンドだからこそ、ファンド管理側としての学びも多いのではないかなとは思います。
また、(ここをPRとして押し出すのも迷うのですが、気になりどころだとは思うので)ファンド全体でパフォーマンスがでた時の成果報酬の所属メンバー個人へのインセンティブ設計は、当社はミドルバックのポジションにもお渡しする設計にしています。みんなでファンドを成功させて、みんなで果実を得ていきましょう、という思想ですね。
佐野:私も楽しみにしています(笑)
── 入社後、チームとして一緒に働くことが多いだろうお二人の仕事観も聞いておきたいです。
佐野:
私はやっぱり「正確性」ですかね。正しい数値を把握し扱う。でもその上でスピード感と柔軟性を持って取り組むことも大切にしています。
手嶋:
私は、究極どうにかなるのだから、前向きに取り組もうよ、ということですかね。反省は日々ありますが、基本的にVCファンドは前向きな仕事だと思っていますし、経験すればできることは増えていきますしね。悲壮感を持たず元気に仕事しよう、というスタンスです。
── 最後に応募を検討してくださっている方へメッセージをお願いします
佐野
ファンド管理はニッチに見えるかもしれないですが、その分希少性も高いポジションです。数値管理を超えてスタートアップを支援できるのがXTVのファンド管理ですので、少しでもご興味を持っていただけたらぜひ1度お話させてください。
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