起業家の悔しさと、産業創出への執念。「遅れてきたルーキー」が選んだ、XTech Venturesという挑戦の場
エンジニア、PEファンド、そして起業家として自ら事業を売却(Exit)まで導いた経験を持つ藤本崇。 ユニバーサル・スタジオでの乗り物設計から始まり、カーライル・グループでの投資経験、そして「ストリートアカデミー」の創業と、あまりに多彩なバックグラウンドを持つ彼が、次のキャリアとして選んだのはベンチャーキャピタリストでした。
なぜ、再び起業するのではなく、投資家の道を選んだのか。そして、なぜXTech Ventures(以下、XTV)だったのか。入社の経緯から仕事の醍醐味、そして描く未来について話を聞きました。
1976年生まれ。12歳の時に渡米し、合計15年間を米国で過ごす。新卒で米国Universal Studiosに入社し、乗り物の設計に従事。その後航空貨物大手FedExにて物流企画に従事。MBAを経てカーライルグループに参画。5年間PE投資に従事した後、2012年にストリートアカデミーを創業。 VCからの資金調達を経てCtoC x 教育のスキルシェア「ストアカ」をゼロから80万人ユーザー、講師5万人規模にまで成長させる。2024年に事業会社への売却と同時に代表取締役を後任に譲り、社外取締役に就任(現任)。2025年3月にXTech Venturesへ参画。コーネル大学 機械航空工学部卒、スタンフォード大学 MBA卒。趣味は水泳、釣り、映画とスパイスカレー。
「大成功」と言えない悔しさが、次の原動力に。
─藤本さんのキャリアは非常にユニークです。エンジニア、PE、起業家を経て、なぜベンチャーキャピタリストという選択をされたのでしょうか。
藤本:きっかけは、前職であるストリートアカデミーを売却し、PMI(経営統合)を経てロックアップ期間を過ごしていた時のことです。そこで改めて「自分は何をやるべきなのか」を深く考える時間がありました。
実は、今回のExitは個人的には「大成功した」とは言えない、ある種の悔しさが残っていたんです。 起業家の悔しさのはけ口としては、大きく2つのパターンがあります。
「もう一度、もっと大きな事業を作って見返してやる」か、あるいは「もう疲れたから起業家は辞めよう」か。私もその両方を考えました 。
ただ、私が起業した頃とは違い、今の技術のランドスケープは驚くほど広がっています。インターネットやソフトウェアだけでなく、宇宙やディープテックなど選択肢が多岐にわたる中で、今から自分が特定の領域を選び、アンラーニングして大成功できるかと考えた時、何をやるべきか決めきれない自分がいました。
その一方で、SNSなどを通じて「日本のスタートアップは小粒だ」「100億円の壁を超えられない」といった課題が論じられているのを目にし、強烈な悔しさを感じていたんです。自分も苦労して事業を作り、周囲の起業家も必死に頑張っているのに、経済的なインパクトが足りないと評価されない。
それならば、決めきれない自分がゼロから事業を作るよりも、これまでの経験を還元し、広がった技術領域でチャレンジする次世代の「光る原石」を応援する方が、経済インパクトの最大化に貢献できるのではないか。そう考えたのが、ベンチャーキャピタリストを目指したきっかけです。
─数あるVCの中で、XTech Venturesを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
藤本: ベンチャーキャピタリストになろうと決めたものの、なろうと思ってなれる職業でもありません。そこで、VC育成プログラムに参加しました。そこで学んだのは、自分でファンドを立ち上げる大変さと、今の自分には既存のファンドのパートナーを目指す道が合っているということでした。
私が求めていたのは、自分の価値を理解してくれて、相性が良く、なおかつ組織としてまだ固まりきっていない(余白のある)ファンドです。いくつかの候補にメッセージを送った中で、XTVを選んだのは、ほぼ「直感」でした。
代表パートナーである西條と手嶋が共に事業家出身であり、私の「ゼロから事業を作った経験」を投資に活かせると理解してもらえるのではないか、と感じたんです。金融畑中心のVCであれば「あなたは起業家でしょう?」とカテゴライズされてしまうところを、XTVなら私の泥臭い経験も含めて面白がってくれるのではないか、と。
実際にコンタクトを取ってみると、「経営や事業をやりたいなら、消去法でベンチャーキャピタリストをやるのはやめた方がいい。そんな簡単な仕事ではない」と釘を刺されました。しかし同時に、「本気でやるなら全部教えるよ」と手嶋に言ってもらえた。その言葉に、彼らの本気度と懐の深さを感じ、ここでならやっていける、挑戦したいと強く思いました。

「縦に掘る」起業家から、「横に広げる」投資家へのアンラーニング
─実際に入社されて約9ヶ月(※取材時)が経ちました。起業家からベンチャーキャピタリストへの転身で、どのような「アンラーニング」が必要でしたか。
藤本: 一番大きかったのは「立場の違い」に対するアンラーニングですね。 起業家時代、私はシリーズEまで資金調達を経験し、契約書や交渉の場数も踏んできました。
VCの論理は理解しているつもりでしたが、実際に中に入ってみると、見えている景色は全く異なりました 。どこまでいっても私たちはマイノリティ株主であり、事業の現場に踏み込める範囲には限界があります。「後援団」以上にはなれないのです。
また、起業家にとっては一度きりの勝負であっても、ベンチャーキャピタリストにとっては「再現性」が重要であり、ポートフォリオ全体でのリターンを考えなければなりません。リスクの捉え方や、最終的な責任の取り方が根本的に違う。
この点は、ゼロから必死に学び直しています。また、仕事の進め方も「縦」から「横」へと変わりました。 事業に没頭している時は、一つの領域を縦に深く掘り下げますが、ベンチャーキャピタリストは横に広く情報を集め、業界全体を俯瞰して成功確率や再現性を紡ぎ出していく必要があります。
かつては「イベントばかり行って」とベンチャーキャピタリストの仕事を軽く見ていた時期もありましたが(笑)、今は私自身が積極的にイベントに足を運び、そこでの出会いや情報を自身のセンスに統合していくことにやりがいを感じています。
もちろん、起業家時代の経験は活きています。起業家と話していると、「ああ、この感じ、以前もあったな」というデジャブをよく感じます。彼らが抱える感情や、次に何が起きるかがある程度想像できるので、適切なタイミングで言葉をかけられる。
ただ、あくまで「株主」としての距離感を保ちつつ、先輩風を吹かせないよう気をつけていますが(笑)、信頼関係の構築には大いに役立っています。

「責任を取るなら、好きにやれ」。投資領域さえも拡張できる自由
─XTVのカルチャーや、働く環境としての魅力について教えてください。
藤本:XTVの最大の特徴は、「誰かがオーナーシップと責任を持てる領域であれば、投資をさせてくれる」という点です。代表パートナーの2人はソフトウェアやインターネット、コンシューマー領域のプロフェッショナルですが、自分たちが知見を持たない領域には、基本的には手を出さないスタンスです。しかし、それは「やらない」と決めているわけではなく、「責任を持ってやる人間がいればGOを出す」というガバナンスなんですね。
私は機械工学出身ということもあり、宇宙やディープテック領域に関心がありました。これまでのXTech Venturesのポートフォリオには少ない領域でしたが、私が「やりたい」と手を挙げ、論理を組み立てて説得したところ、投資を任せてもらえました。入社して早々に投資領域を「広げてしまった」わけですが、そうした個人の想いや意思を尊重し、リスクを取らせてくれる土壌があるのは、独立系VCとして非常にありがたい環境だと感じています。
─西條さん・手嶋さんは、藤本さんから見てどのような方々ですか。
藤本:西條は、一言で言えば「少年がそのまま大人になったような人」です。好奇心が旺盛で、多動的。常に複数の新しいものを追いかけていて、その視点の広がりにはいつも驚かされます。
一方の手嶋は、「本質を見抜く人」ですね。少ない情報からでも「おそらくこうなるだろう」という未来図を描く能力が極めて高い。そして何よりフラットです。流行りや思い込みに流されず、事象をバイアスなく受け止めることができる。
この「俯瞰する力」や「アンバイアスな視点」は、投資家として私が今、最も吸収したいと思っている能力であり、心からリスペクトしています。

イノベーションを「産業」へ。投資の枠を超えた挑戦
─最後に、藤本さんがXTech Venturesで成し遂げたいこと、描いている未来について教えてください。
藤本: 青臭い言い方になりますが、「産業を作る」ことに貢献したいと考えています。イノベーションというのは、単に新しいことを始めるだけでは不十分です。
それが規模を伴い、経済的なインパクトを生み出して初めて、真のイノベーションと呼べるのではないでしょうか。私は、VCという仕事を通じて、単に個々のスタートアップを支援するだけでなく、その集合体が一つの「産業」として形成されていく過程に関わりたい。
それがディープテックなのか、別の領域なのかはわかりませんが、かつて自分が事業家として感じた「100億円の壁」や「日本のスタートアップの課題」を、今度は投資家という立場から乗り越え、次世代の起業家たちと共に、世界に誇れる産業を作り上げていきたいですね。
XTVは、私のような「異質な経験」を持つ人間でも、本気であれば打席に立たせてくれる場所です。 ビジネス経験のすべてを総動員して「キャピタル・アロケーション(資金配分)」という重い責任を全うする。その覚悟を持った方にとって、ここは最高の挑戦の場になるはずです。
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