起業家の「願い」と組織の「未来」を形にする。インベストメントマネージャーとChief of Staffの役割
XTech Ventures(以下、XTV)は、「起業家と共に事業を創造する」という思想のもと、シード・アーリーステージのスタートアップへの投資・支援を行うベンチャーキャピタル(VC)です 。今回は、インベストメントマネージャー 兼 Chief of Staffとして、投資実務と組織構築の双方を担う鈴木かおりにインタビューを実施 。
リクルートコミュニケーションズから未経験でVC業界に飛び込み、XTVでキャリアを築いてきた鈴木に、これまでの歩み、現在の業務、XTVならではの醍醐味、そして未来の仲間への期待について、詳しくお話を聞きました 。
同志社大学卒業後、株式会社リクルートコミュニケーションズに入社。主にHR領域にて社内コンサルティングに従事。プロダクト開発やプロジェクトマネジメントから、利益率改善に向けた施策立案まで、数多くのプロジェクトを担当。2021年8月、XTech Venturesに参画。
「1つ1つの願いを現実に」。リクルート時代に芽生えた、VCキャリアへの原点
─まず、これまでのキャリアについて教えてください
鈴木:もともと、学生時代は関西のスタートアップでインターンをしていたんです。ただ、就職活動を前に、そのままスタートアップで働くのか、それとも日本の新卒採用という仕組みを使って大手企業に進むべきか、なかなか決めきれずにいました。
そこで、新卒採用で80社から100社くらいエントリーして、「受かったところから考えよう」という発想に切り替えたんです。とはいえ、就職活動の軸としては「20代のうちに挑戦機会があること」を重視していました。
新卒で入社したリクルートコミュニケーションズは、自分が提案さえすれば、営業からオペレーションまで幅広く経験できそうな気がして、そうした中で、最終的な決め手になったのは、その会社が掲げていた「1つ1つの願いを現実に」という企業理念でした。
その企業理念に基づいた部署編成や仕事の取り組み方をしていることに強く惹かれたんです 。 自分のために頑張るというよりは、「こういうことで困っている人がいる」「こうしたらいいよね」という課題に対して、既存の組み合わせでも新しいことでも良いので、何か解決策を考える。それを自分が実現できる力を持てたらいいな、というコアの価値観と合致したことが、新卒でリクルートコミュニケーションズへの入社理由です。
─新卒で人材業界を選ばれたわけですが、そこからどのような経緯で、ベンチャーキャピタリストという仕事に興味を持たれたのでしょうか?
鈴木:社会人5年目くらいのタイミングで、リクルートの中で管理職としてのキャリアを進めるか、それとも転職するかを本格的に考え始めました 。
転職する前に結婚したのですが、夫が起業家でVCから資金調達を受けている会社を経営していたので、そこで初めてベンチャーキャピタリストという職業があることを知りました。 夫から何の気なしに「ベンチャーキャピタリストに向いてるんじゃないか?」と言われたのが、VCに興味を持ったきっかけです。
そこで、夫の会社の出資者であるVCの方を何人か紹介してもらい、話を聞いてみました。すると、その方たちが皆、凄く楽しそうに仕事の話をするんです 。
もともと、私自身のコアの価値観は「1つ1つの願いを現実に」というところにあったので、VCの仕事はそれに通じるものがあると感じました。リクルートという大きな組織の中ではなかなか難しいことも、VCであれば逆にできる事もあるかもしれないなと。
ベンチャーキャピタリストという仕事を通じて、新しい事業やサービスが世に作られていくプロセスに関わり、ほんの少しでも自分が役に立てるのであれば、それは一生の仕事としてすごく面白そうだ、と思ったんです。それで、当時はVCに転職できるかどうかも分かりませんでしたが、ちゃんと調べてみようと決意したのが、今のキャリアの始まりになります。

入社の決め手は「学びたい人」の存在と、「組織の未来」への意志
─数あるVCの中から、次のキャリアの舞台としてXTech Venturesを選んだ最大の理由は何でしたか?
鈴木:転職活動を始めた当初、できればVCとして長く働きたい、という思いがありました。そのために、どういう環境に身を置くのが良いかと考えたとき、2つの軸がありました。1つは、「この人の下で学びたい」と心から思えるようなパートナーがいるかどうか。 もう1つは、将来のパートナー候補を育成する方針の組織かどうかです。
実は、VCへの転職を考え始めた頃、エージェントの方からは「事業会社からいきなり独立系VCは大変ですよ」と言われ、正直、独立系VCは難しいのかもしれないと感じていました 。
そんな時、情報収集のために見ていたX(旧Twitter)で、手嶋(共同創業者)が告知していた採用イベントを見つけたんです 。それが「事業会社でキャリアを積んだ人向けのVC採用イベント」で、「まさに私のことだ!」と思い、すぐに申し込みました。そして、そのイベントを主催していたのがXTVだったんです。
XTVは、私が設定していた2つの軸を一番満たしていると感じました。 また、私の周りにはスタートアップを起業している知り合いもいたので、彼らにも聞いてみたんです 。すると、複数の人から「XTVさんは大変そうだけど、実力はちゃんとつくんじゃないか」というコメントをもらって。 自分が入社したいと思っていたコンセプトと、周りからの評価が一致したので、入社を決めました 。
─入社前に抱いていたイメージと、実際に入社してから感じた良い意味でのギャップがあれば教えてください。
鈴木:まず、これは業界に対するギャップですが、VCは事業としては金融業であるので、事業会社出身の私としては、金融リテラシーのチューニングは必要でした。試算表や決算表の読み方・投資先に評価額をつけること・ファンドとはといった部分について等々、イチから勉強した部分が大半です。内定が決まってから半年〜1年程度かけて週末等に勉強しながら、全体像がようやくちゃんと理解できた、という感じでしょうか。
社内の雰囲気については、「武者修行する」という覚悟で入社したので、そこまで大きなギャップはありませんでした。 ただ「個人としてどう起業家の方を見つけてこれるか」という点に関しては、想像していた以上に頑張らなければいけないな、と痛感しました。
良い意味でのギャップは、代表の2人は、想像していたよりもずっと「人間味のある人たち」だった、という点ですかね。厳しさと優しさの両面を持って接してもらえることは、ポジティブな驚きでした。組織として、厳しさだけではなく、人間的な優しさもあるんだな、というところは、入社後に感じたXTVの大きな魅力です。

「投資」と「組織」。二足の草鞋を履くマネージャーのリアル
─「インベストメントマネージャー」と「Chief of Staff」、それぞれの役割について、具体的な業務内容を教えていただけますでしょうか。
鈴木:インベストメントマネージャーは、いわゆるキャピタリストとしての職務がメインです。投資を検討させていただきたい起業家の方を見つけてきて、投資検討を行い、選んでいただいて投資を実行し、その後の投資先の支援を行っていく、ということをやっています。
Chief of Staffに関しては、XTVの組織体制に関わる役割です 。私たちの組織は、代表2人とフロントメンバー数名という構成で、これまで組織全体のことを考えたり、プロジェクトを推進したりする専門の担当者がいませんでした。2号ファンドまでは少人数だったので、全員野球で何とかやってこられたのですが、組織として今後どう方針を示していくか、という議論になったんです。 そこで、組織アクションの戦略議論やそのプロジェクトマネジメントを管轄するポジションとして、私が今、担当させてもらっています 。
このポジションに就いた経緯として、個人的なライフイベントの変化があります。子供が生まれたこととで夜のイベントなどに参加することが難しくなり、かつ、親族の介護も重なった時期があり、他のキャピタリストと比べてソーシングの量が減ってしまっている状態に、悶々としていた時期がありました。
そのタイミングで代表パートナー陣から、ちょうど組織を強くしていくことを考えていたタイミングだったこともあり、「組織全体のプロマネ的な仕事で、組織を動かし、強くしていくポジションをやってみないか」と打診してもらったんです。XTVが組織として「今、何をすべきか」その時々でやるべきことが変わる中で、プロジェクトを設計し、推進していく役割は、前職の「なんでも屋」としての経験が活きているなと感じていますし、やりがいも感じています。
─日々の業務の中で、最もやりがいや喜びを感じるのはどのような瞬間ですか?
鈴木:一番は、まだ世に出る前の構想段階で起業家の方からお話を聞いていたものが、少し時間を置いて、実際にサービスとして世に出て、それをクライアントが喜んで使ってくれたり、実際に商品が売れたりしている瞬間ですね。
「あの時、構想として話していたものが、ついに実現できたんだな」と感じるときや、SNSでお客さんの喜びの声が上がっていたり、売上が伸びていたりするのを見ると、本当にワクワクします。
代表2人のファンドから「組織で勝つファンド」へ。まさに今が変革期
─XTech Venturesは「起業家と共に事業を創造する」という思想を大切にされていますが、他のシード系VCと比較して、特に「XTech Venturesならでは」と感じる投資の面白さや支援のスタイルはどのような点にありますか?
鈴木:「ここだけは」というのを一つ挙げるのは難しいですが、私たちが「こうありたい」と思っているのは、「投資家としての目線」と、「事業を作る・遂行するとはどういうことか」という現実的な実行力、その両方をちゃんと持っているVCである、という点です。
何を言っても、実行・遂行できなければ意味がありません。事業を作るリアリティと、スタートアップの成長曲線やお金の使い方を見る投資家・金融業としての目。この両方を高いレベルで持っていることが、私たちの目指す所であり、代表パートナーの2人はまさにそれを体現しています。 よく「ロマンとそろばん」と言ったりしますが、まさにそのバランスです。
また、支援のスタイルとしては、起業家の方や事業フェーズに合わせて、柔軟に対応できるところも特徴だと思います。今、自分たちの役割は何なのか、ということを常に念頭におきながら伴走しています。
─Chief of Staffというお立場から見て、XTech Venturesという組織の強みやユニークな点は何だと思いますか?
鈴木:組織のフェーズとして、今がすごく面白い時期にある、という点がユニークであり強みだと感じています。1号、2号ファンドは、代表2人をメインに、組成・運営してきた側面が強かったと思います。
ですが、3号ファンド以降は、XTVが「組織として」どう強固になっていき、LPの皆様へのリターンを最大化できるかという挑戦のフェーズに入っています。 最低限の実績は少しずつ出始めていますが、今後4号、5号、6号とファンドを継続していくために、今のメンバーとこの1-2年で採用する方々を中核人材として据えて、強い組織を作っていきたい、というフェーズなんです。
そのため、将来的にVCでパートナーを目指したい方や、ファンド経営の中核にいたい、という思いがある方にとっては、今このタイミングでジョインすることは、すごく美味しいんじゃないかなと思います。

「黒子」に徹し、最大の「変数」となる
─インベストマネージャーとして多くの起業家と向き合っていると思いますか、鈴木さんがベンチャーキャピタリストとして最も大切にしているスタンスがあれば教えてください。
鈴木:一番大切にしているのは、起業家の方に「炎を燃やし続けてもらう」ことです 。
スタートアップ経営は、しんどい時期の方が圧倒的に多いと思いますが、リスクを取って挑戦されているのは起業家の方々です 。一度ご一緒させて頂いたのであれば、最後までちゃんと応援したい、という気持ちは常に持っています。
その上で、私たちはあくまで黒子であり、「邪魔にならないサポート」を心がけています。 シード期に数千万円を出資して、将来大きくなるかもしれない会社の株式のシェアをいただくというのは、大きな責任も伴っていると思っています。 だからこそ、そのご期待に応えられるよう、私たち自身が「変数」となって、何かしらの価値を提供できるように、と考えています 。
─今後、どのようなバックグラウンドやマインドセットを持った方にチームに加わってほしいですか?
鈴木:バックグラウンドに関しては、あまり「こういう人が欲しい」というのはありません。 マインドセットとしては、働くことがご自身の人生における自己実現や「やりたいこと」と繋がっている方がフィットすると思います。VCの仕事は、ライフとワークがはっきり分かれるようなタイプのものではないので。
むしろ私たちは、新しい価値観やバックグラウンド、強みを持っている方を積極的に採用したいと考えています。
その方が、ソーシングルートも多様になりますし、投資検討の議論も多角的に行えるようになり、結果として組織が強くなると信じているからです 。
また、VCは組織で動く部分もありますが、最終的には「個人が強くならないと組織が強くならない」仕事です 。ですから、「VCキャピタリストとしてこういうことをやりたい」「スタートアップのためにこういうことができると良いんじゃないか」という自分なりの考えや意志を持っている方に来ていただきたいですね。
代表2人の「思考」を吸収できる。最速で成長できる環境がXTVにある
─採用候補者の方にとって、XTech Venturesで働くことで得られる最大の成長機会や経験は何だと思いますか?
鈴木:現時点だとやはり、代表パートナー2人の存在が一番大きいと思います。XTVは、代表とメンバーの間に中間管理職を置いていないフラットな組織なので、代表2人から直接、日常的にフィードバックを受けられる環境にあります。 彼らが「なぜ、そのように考えるのか」という思考のプロセスを、吸い取ろうと思えばいくらでも存分に吸い取れる環境です。
私自身、転職前は「起業経験や実績がないとキャピタリストになれないのでは?」と不安に思っていた時期もありました。ですが、上場企業の経営を経験したこの2人から直接知識や経験を吸い取れるのであれば、すぐにキャピタリストとして始めた方が良い、と考えを変えました。VCとしてのネットワークは長期的に築いていくものですから、早くスタートできるに越したことはない、と。この考えは間違っていなかったと確信していますし、これがXTVで得られる最大の成長機会だと思います。
─鈴木さんが、ベンチャーキャピタリストとして、またXTech Venturesのメンバーとして、今後成し遂げたいことや実現したい世界観について教えてください。
鈴木:Chief of Staffとしては、XTVを「代表パートナー2人が中心のファンド」から、「組織が強いファンド」だと言ってもらえるようにすることが頑張り所だと思っています。
私は、XTVが掲げる「事業と投資の両面から起業家を支える」という思想に強く共感していますし、これは非常に意味があることだと思っています 。この思想を持つファンドが、今後もちゃんと継続していくように、ファンド自体を成功させたい。ファンドとしての継続性をしっかり作っていくことに、Chief of Staffとして成果を出していきたいです。
そして個人としても、この業界で長く仕事を続けられるように、しっかりと結果を出していきたいと思っています。
─最後に、XTech Venturesに興味を持っている候補者の方々へ、メッセージをお願いします!
鈴木:もし今、「自分はベンチャーキャピタリストになれるのかな?」と少しでも思っているタイミングであれば、ぜひ一度お気軽にお声がけいただきたいです。VCという仕事が、実際にどんな働き方で、どんないい面があり、逆にどの辺を覚悟した方がいいのか、といったことは、やはり中の情報を取りに行かないと分からない部分が大きいのかなと思います。
XTVに興味があるかどうか、応募するかどうかは、その次のステップで構いません。まずは、そもそも「ベンチャーキャピタリスト」という職種について知りたい、という段階でご連絡いただければ、採用担当という目線を一旦忘れて、フラットにお話しできると思っているので、ぜひXでのDMも含めてご連絡をお待ちしています!
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