Creator’s X × XTech Ventures対談ー大企業での新規事業を経て起業。まだない市場をやり切る覚悟ー

2024年5月〜9月期のX-Gateに参加されたCreator ‘sX創業者の藤原さん・湯浅さんとプログラム期間中から担当パートナーとして伴走してきたXTech Ventures代表パートナー手嶋に、参加時(起業前)当時のこと〜現在に至るまでを対談させていただきました。
代表取締役Co-CEO 藤原 俊輔
アビームコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティングで戦略コンサルタントとしてTech領域を中心とした新規事業開発、M&A支援などに参画。その後、当事者として事業を推進したいという思いから、2022年よりU-NEXT HOLDINGS社CEO室でRobotics・AI分野で事業立上げをリード。アニメ制作者から制作現場に関する相談を受けたことをきっかけにCreator's Xを創業。
代表取締役Co-CEO 湯浅 義朗
シリアルアントレプレナー。大学在学中、株式会社ねこじゃらしの創業メンバーとして参画。クラウドストレージ事業やアプリ開発事業、データのクラウドバックアップ事業などの立ち上げや事業譲渡を行う。取締役退任後、DMM. com のCOO室に入社。新規事業の立ち上げ、M&A、PMI、事業部長や子会社の代表取締役を歴任。その後、U-NEXT HOLDINGS のCEO室に入社し、Robotics・AI分野の事業開発を行う。約20年間、テクノロジーを活用したクリエイティブやエンターテインメント分野の事業開発に努めてきた経験を活かし、Creator‘s Xを創業。
XTech Ventures
代表パートナー 手嶋 浩己
博報堂に新卒入社後、2006年インタースパイア(現ユナイテッド)入社、取締役に就任。その後、2度の経営統合を行い、2012年ユナイテッド取締役に就任、新規事業立ち上げや創業期メルカリへの投資実行等を担当。2018年同社退任した後、Gunosy社外取締役を経て、LayerX取締役に就任(現任)。平行してXTech Venturesを創業し、代表パートナーに就任(現任)。
応募の背景
──X-Gateにご参加された時の状況や応募のきっかけを教えてください
藤原:
「アニメ×AI」というテーマで事業をやろうと思っていました。ただ、当時は、それを社内でやるのか起業してやるのか…悩んでいたんですよね。で、一度VCに話を聞いて「起業してやれるのか」を見極めたいと思ったことが最初のきっかけでした。応募できるアクセラはほとんど全部申し込みましたね。その中にX-Gateがあったんです。
湯浅:
その中でもXTechVentures(以下、XTV)がやっているX-Gateは、手嶋さんのように実績のある方と直接議論できる、そんな機会があるのは大きいと感じていました。だから「ここには受かりたい」と思って応募しました。
藤原:
僕らは「AI×アニメ」というまだ市場ができていない領域をやろうとしていたので、ちゃんと事業と向き合ってくれる人たちとやりたい気持ちは強かったです。
──参加にあたって、期待や不安はありましたか?
藤原:
不安はありました。どれほど伴走してくれるのか、ちゃんとレビューしてくれるのか。担当メンターと僕らの関係次第だろうなと。ただ実際には、ほぼ毎週面談していただいて。その中で「XTVとしてできることがないか」とか「事業を立ち上げるために何が必要か」を真剣に議論していただきました。講義を受けるだけでなく、X-Gateは「事業にどう向き合うか」を一緒に考えてくれる。そこが印象に残っています。
──XTV側が最初にお二人のチームを見たときの印象はいかがでしたか?
手嶋:
最初に話したのはキックオフでしたが「ちゃんと仕事してきた人たちだな」とすぐに分かりましたね。ご本人達は少し迷っている感じはありましたが「起業した方がいいよ」と最初から伝えました。
藤原:
実際に起業を決めたのは、X-Gateが始まってから2ヶ月後くらいでした。
──起業を決めた当時の心境について教えていただけますか?
藤原:
伴走して頂きながらヒアリングをたくさんして、アニメ業界の人たちもすごく応援してくれる雰囲気が出てきたんです。僕らも「制作会社をやる」というより「プラットフォームとして大きくなる」という方向性も考えていたので、「外で一度やってみるか」と決断しました。
資金調達の面でもXTVさんが早い段階から出資の話もしてくださっていて、その安心感も大きかったです。
プログラム中のエピソード
──実際に参加してみて、印象に残っている出来事はありますか?
湯浅:
プロダクトを提供するのか、アニメ制作会社になるのか。ビジネスモデルに悩んでいた時のことですかね。
藤原:
そうそう。そのときにVCの方々から「ロールアップ戦略」というヒントを貰いました。
ゼロからアニメ制作会社を立ち上げるとなると時間がかかり、時間軸も読みにくいなと考えていたのですが、スタートアップ業界ではロールアップをやっている会社が増えている、と。「確かにその方法もあるな」と気づけたことは大きかったです。
そして、手嶋さんに「ビジネスモデルは変わっていくかもしれないけど君たちを信じる」と投資してもらえたのは、気持ちの面で支えになりました。
手嶋:
制作会社を始めるのは本当に大変です。誰もがやりたいと思える役割ではないですが、そこを変えられたら面白い。その覚悟があるなら投資したいという話をしました。
藤原:
「やりきる覚悟があるか」という言葉は心に残っていますね。
──手嶋以外のメンバーとの関わりについてはいかがでしたか?
藤原:
XTVは体育会系っぽい、本気で向き合う文化があると思います。事業相談だけでなく、融資支援や採用など、いろんな場面で「やるぞ」という姿勢で関わってくれる。
湯浅:
関係者の方には「男気が全然違う」と説明することも。たまに怖いくらい真剣なんです(笑)。
手嶋:
(笑)でも、それくらい真剣に向き合うのがうちの流儀ですね。
プログラムで得られたもの・成果
──藤原さん、湯浅さんのお二人は前職のご経験もあり、事業経験豊富だと思いますが、その中でもプログラムを通じて得られたものや成果があれば教えてください。
藤原:
我々はスタートアップとしてどう動いていくか、起業にあたってどう準備するか、あとは事業の種を見つけていったときにどういう勘どころがあるかとか、そういうところはまだ経験が薄かったんです。なので、プログラムを通じてお話をしながら学ぶものはすごく多かったなと思います。分からないことはどんどん質問しましたし、それに対して毎回しっかり答えて頂けたことはありがたかったですね。
湯浅:
そうですね。手嶋さんや西條さんのように事業で実績ある方にきちんとレビューして貰える場が無料で用意されている、っていうこと自体が本当に貴重だと思いました。もちろん厳しい指摘もあります。「そのビジネスモデルじゃ厳しいよ」と言われることもある。でもそれで事業をピボットしたり、進むか諦めるかを判断できる。機会自体が貴重でした。
──XTV視点ではどうですか?
手嶋:
やっぱり「起業を決めてくれた」というのが大きいですね。
アニメ業界は今後すごく注目される産業ですし、VCからも世の中的にも期待が高まっている領域です。既存の大手が先行投資を強めていますが、スタートアップのように常識にとらわれず前提条件なしで挑戦する存在も必要です。
事業経験もあって、コンテンツ業界の経験もある。そういう人が腰を据えて挑戦することに、社会的にもすごく意味があると思います。お二人が起業を決めてくれたことは本当に良かったし、我々が1%でも2%でも背中を押せたなら良かったなと当時、思っていましたし、今も思っています。
プログラムの特徴・魅力
──他のプログラムと比べてX-Gateはどのような特徴があると感じましたか?
藤原:
僕はいろんなアクセラを見ましたけど、X-Gateみたいなプログラムは他にないんです。ここまで事業と向き合ってくれるところは少ない。もちろん厳しいことも言われますけど、その分、本気度が伝わってくる。
アクセラプログラムって複数応募してもいいと思うんです。その中にこういう「本気で向き合う場」が1つあるといいんじゃないか。終わった後に振り返ってもそう感じました。
湯浅:
そうですね。X-Gateは「何か型があるようなイベント」ではなくて、「参加チームの会社を前に進めるためのプログラム」だなと思います。
──ありがとうございます。XTVとして意識していることがあれば補足いただけますか?
手嶋:
いやもう、お二人に言っていただいたことがまさに狙っていたことなので恐縮です(笑)。まず投資が前提ではない、というのは大事にしています。もちろん、できれば投資したいと思っていますが、あくまで「お互い馬が合えば」という形です。
実際、今回Creator’sXには出資させていただきましたが、逆にこちらが全力でコミットしても「今回は調達しません」とか「他のVCさんでやります」とか、そういうケースもあるだろうと最初から想定していますし、そのようなチームもいます。
僕らは「ハンズオン」という言葉は意味が曖昧なので、あまり使わないようにしていますが、事業に対してはリアルな議論ができるベンチャーキャピタルでありたい。
その意味で、X-Gate参加チームとの対話・議論は僕らにとっても大切にしている機会であり、起業家に対しても本気で貢献できればと思っています。
プログラム終了後の関係性
──プログラムを経てXTVからご出資もさせていただきました。
藤原:
一貫して、ずっと同じ熱量で向き合っていただいていると感じます。僕らはほぼ毎週面談していただいてますし、困ったときにはすぐに手伝って貰っています。
IVSローンチパッドに出るときも、鈴木さんにいろいろと手伝っていただきました。プレゼンのブラッシュアップだけでなく、採用が目的だったので、その後の採用オペレーション構築まで一緒にやっていただいたり。本当にどんなことでも、事業の成長に直結する形で支援していただいているなと感じています。
──XTech Ventures側から見て、プログラム後の状況はいかがですか?
手嶋:
足元で言うと、想定の3倍くらいのスピードで進んでいる感覚です。もちろん、まだ本格的に始めて1年程度のスタートアップなので「めちゃくちゃうまくいってます」という表現ではないですが、それでも想像以上のスピードで物事が進んでいます。
アニメ×生成AIという領域に注目が集まっていると感じており、Creator’sXへの注目も高まっていて、他のVCからも「どうなってるんですか?」と聞かれることが増えてきています。IVSでのピッチの効果も大きかったと思います。
ただ、そういう状況でも二人は浮き足立たない。落ち着いていて、淡々と進めている。僕が30代前半だったら「ラッキー!」って浮かれてたかもしれません(笑)。でも二人はそうならずに、堅実に進めているのがすごいなと思います。これからも期待しています!
これから参加する人へのメッセージ
──最後に、これからX -Gateへの参加を考えている方へメッセージをお願いします。
藤原:
僕らは大企業から起業したんですけど、当初考えていたよりリスクは全然大きくなかったなと感じています。昔みたいに「保証を背負わなきゃいけない」という時代でもなくなってきている。むしろ、スタートアップだからこそ出せるスピード感で事業を進められるのは大きな魅力です。だから結局は勇気の問題だと思いますね。
それと、僕らがアクセラに申し込んだときも、出資をいただいたときも、本当に何のプロダクトもなかったんです。コンセプトしかない段階で。それでも信じていただけた。スタートアップとして飛び込めば、そういう環境でも手を差し伸べてくれる人たちがいる。業界の内外問わず、いろんな方が「本気でやれば集まってくれる」んだなと実感しました。なので、迷っているなら飛び出してみるといいと思います。
湯浅:
僕もそう思います。出て失うものは特にないし、むしろ得られるものが大きい。応募して審査に通らない可能性はもちろんあります。でも、通ったら本気でフィードバックをしてくれる人たちがいます。その中でビジネスモデルを磨くか、方向転換するか、あるいは撤退を決めるか。どちらにしても大きな学びになる。だから、もし起業や事業を本気で考えているなら、応募しない理由はないと思います。
—-------
・Creator 'sXは絶賛複数ポジション採用中です。ご興味ある方は下記URLをご覧ください。
https://www.wantedly.com/companies/company_1720359
・XTech Venturesアクセラレーションプログラム「X-Gate」の詳細ページは下記URLです。